2029年05月11日

カーマ・スートラ―完訳 ヴァーツヤーヤナ(著), 岩本裕(著)

古代インドの、性の聖典として名高いが、奔放への誘惑は一切ない。むしろ読後には居住まいを正したくなる。相手に尽くす、という心掛けの意味では、本書こそ最古最大のマナーブックである。ゆえに、この聖典の徳をすべて身につけた人物は、人間として尊敬に値する、と説かれるのである。巷間に流布した訳本はこんにちあまたあるが、考証の厳密さとハンディな体裁とで、本文庫版をお薦めしたい。内容的には「何だこれ?」と笑えたり、女性に対する過剰な要求にマユをひそめる向きもあろうが、こう連綿ときまじめに記述されてはかなわない。若いうちに読んでおくと良い、精神鍛練的教養書である。(小林浩)

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